リアルゼミ史上最大の試練⁉—リアルゼミ×小学生
先日リアルゼミ初の試み「出張リアルゼミ」の初回を、千葉県千葉市の地域コミュニティースペース「TSUGAnoわ」で行いました。
この「出張ゼミ」は普段東大で行っている障害当事者をお呼びし学生と講義・懇親会を通した「先入観なく、タブーなく対話のできる場」をもっと東大以外の場でも広めていきたい、という思いで始めたもの。しかし何とあろうことか初回の相手は小学生!下は二年生から上は6年生までおよそ10人ほど。普段大学生を対象に行っていることを大事なエッセンスは残したまま、小学生に行う上でどう授業を設計すればいいものか、運営メンバーはこれでもかというほどに頭を悩ませました。
講師をお願いしたのは、東京大学文学部哲学科三年生の愼允翼(しんゆに)さん。彼は脊髄性筋萎縮症という病気のために生まれつき筋肉が不十分で、普段もストレッチャーに乗って横たわった状態で移動を行っています。おそらくは生まれてこの方見たこともないような状態の人間を目の当たりにし、しかも「東大生」「哲学科」の彼が紡ぐ言葉を小学生がどのように感じ、受け取るのか…
最初のつかみこそは不安になったものの、子供達一人ひとりと握手してくれたり、トイレのときの体位変換の様子をその場で実演してくれたりしたことで、子供達の緊張もほぐれ興味が湧いたようでした。講義は主に愼さんの今までの学校生活について。特に小学生時代の経験と思いを、子供たちに語ってくれました。小学校低学年の頃はルールなどを工夫しながら友達と外遊びを楽しんでいた愼さん。しかし、高学年になると周りの友達は教室でおしゃべり、自転車で遠出をするようになって、一緒に遊ぶことが難しくなったそうです。
愼さんが一方的に話すだけでなく、逆に子供たちに問いかける場面もありました。「僕はは右側にしか顔を向けられないのだけど、小学校の教室ではどの席に座ればいいと思う?」との呼びかけに、みんなホワイトボードを使って「この席だったら黒板が見えやすくていいんじゃない!」とアイディアを出し合いました。
授業の後半では、受講者から愼さんに「愼さんは将来何になりたいですか?」との質問がありました。それに対して愼さんからは、「気持ちのいい人になりたい」との答えが。「みんなと話したり一緒に遊んだり同じ空気を吸ったり、そういう日々を楽しく過ごせるような大人になりたい」ひとが好きで、ひとを信じていて、ひとと過ごす時間を大事にしている愼さんだからこそ出た言葉なのだと思います。
講義が終わると自然と小学生が愼さんの周りに寄って行って「この機械ここ押せば前に進むんだね!」と愼さんの乗ったストレッチャーに興味深々な様子。そしてそこからまた愼さんとの会話が膨らんでいって…。その光景はとても微笑ましく「気持ちの良い」空気が流れていました。
今回最年少の参加者だった小学二年生の女の子はその日家に帰ってお父さんにこう話したそうです。(お父さんに「今日楽しかった?」と聞かれて)「楽しかった!何か分からないけど、楽しかった!…一人で考えるとダメだけど、みんなで考えると良いんだって!」。私たちは今回の出張ゼミを企画するにあたって、「小学生だからもっとわかりやすく」とか「小学生にはこれでは伝わらないんじゃないか」とかそういった考え方をしてしまいました。でも今回一回目を行ってみて、確かに難しい言葉は分からないかもしれないし中学校・高校・大学がどんなものかは知らないかもしれない。でもまっすぐに小学生に向けた言葉はちゃんと聞いてくれるし分かってくれている、届いている。そんな気がしました。
いろいろ手探り状態だった初回の「出張ゼミ」。開催にあたって開催場所の提供・宣伝にベストサポートの竹嶋信洋さんはじめとして地域の方にご助力いただきました。この場をお借りしてお礼申し上げます。今後も試行錯誤しながらこのリアルゼミの輪を広げていきたいと思います!
出張先を募集しています!
現在、リアルゼミでは出張ゼミの受け入れ先を募集しています!全国各地どこでも歓迎です。
授業の形式などはご一緒に相談しながら作り上げていきたいと考えております。
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